
こんにちは!薬剤師芸人の三部透です!
今回は2月22日(土)に加藤厚生労働大臣がおっしゃった
「新型コロナウィルスでアビガン錠の使用を検討する」のアビガン錠とはいったい何か?
について書いてみました!
実はアビガン錠は日本が作ったウィルスへの秘密兵器なんです!!!
追記:安倍総理大臣が3月28日(土)に記者会見で、
アビガンについて「正式承認に向け治験プロセスを開始する」と表明しました。
1日でも早く治療薬が出てきてほしいですね!
アビガン錠って何?

アビガン錠とは、2014年に富士フィルム富山*化学という日本の製薬企業が作った
抗インフルエンザ薬です!
*アビガンの効果を示す成分である”ファビピラビル”は1998年にすでに見つかっていました。

*富山化学工業は名前のとおり富山県にあり、
江戸時代から薬売りの行商人がいたので現在でも”富山の薬売り”と言われています。
そして昨日のニュースを聞いて、
インフルエンザでタミフルとかは知ってるけどアビガン錠なんて初めて聞いた!というかたもいるかと思います!
実はこれには理由があって、
アビガン錠は新型インフルエンザが蔓延して既存のタミフルなどの薬が効かなかった時や、
薬に耐性を持ったインフルエンザウィルスが出てきた時のためにわざと使わずにいたんです!

つまりアビガンは、既存の薬が効かなかった時のための日本の秘密兵器なんです!!!
アビガンがどうして新型コロナに使われるの?
そんなインフルエンザへの日本の秘密兵器アビガンですが、
今回使用を検討されたのはインフルエンザではなく”新型コロナウィルス”でした。
そもそも抗インフルエンザ薬のアビガンがなんで?ということなんですが、
アビガンの作用機序(薬がどのように効くのか)がタミフルと全く違うからなんです!
まずウィルスは細菌と違って自分で増殖する仕組みを持ってないので、
人の細胞の中に入りこんで増殖します。そして増殖した後は細胞の外へ拡散していきます。
そこで薬は、ウィルスの「人の細胞への侵入」・「細胞内での増殖」・「細胞外へ拡散」の
これら3つの過程のうちどれかをじゃまをすることで病気を抑えます!

インフルエンザウィルスで解説しますと、
インフルエンザウィルスは外側に特別なたんぱく質
(青いトゲトゲ・赤いトゲトゲ)を持っていて、
青トゲを使って人の細胞の中に入り増殖します。
そしてヒトの細胞の中で増殖したウィルスは
赤トゲで細胞外に飛び出し拡散します!
つまりまとめるとこんな感じです!
①:ヒトの細胞核の中に入り、ウィルス自身の遺伝子を増やす。
→(ウィルスの中身の合成)
②:遺伝子から、ウィルスを構成するたんぱく質(青トゲ、赤トゲ)を作る。
→(ウィルスの外側の合成)
③:①と②で作った遺伝子とたんぱく質が合体し、インフルエンザウィルスを形成。
→細胞内から赤トゲ(NA)で細胞外に放出。

そしてインフルエンザ治療薬であるタミフルはこの赤トゲに攻撃して
細胞外にウィルスが拡散するのを防ぐことで効果を示します!

一方、アビガンはタミフルと違って、
人の細胞の中に入った後のウィルスの増殖をじゃまをすることでそもそも増殖すらさせません!
なので、アビガンはそれぞれのウィルス特有のたんぱく質(青トゲ・赤トゲ)を攻撃するわけではなく、
ウィルスそのもの増殖を防ぐことによって効果を示します!

つまりインフルエンザ以外の他のウィルス、新型コロナウィルスにも効果を示す可能性があるんです!!!
実際にアビガンはインフルエンザ以外の
エボラ出血熱やノロウィルスにも効果があったと報告されています!
もし使うとなった場合の注意点
ただデメリットもありまして、妊婦さんや妊娠している可能性がある女性には
胎児に影響が出るということで使用できないのです!
また男性でもこの「アビガン」を飲むと精液中に薬の成分が入ってしまい、
男性がこの薬を使用している間および使用を終了してから7 日間以内に性交渉を行う場合は、
必ずコンドームを着用などをして避妊する必要があります!
もちろん妊婦さんとの性交渉もしないようにする必要があります!

↓は患者向医薬品ガイドです!
わかりやすい言葉でアビガンについて書いてあります。良かったら読んでみてください!
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/400022_625004XF1022_2_00G.pdf
読んで下さりありがとうございました。
早く新型コロナ落ち着いてほしいですね!!!
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