【歴史から学ぼう】パンデミック①~ペスト~

ついにパンデミックとなった新型コロナウィルス。

今回はパンデミックとされた病気の中でも、
3回の世界的大流行を起こした「ペスト」を紹介したいと思います!

*昔に流行った病気ということで様々な文献を参考にしており、
ペスト流行の年代や死亡者数などは諸説ありますことを踏まえて見て頂けたら幸いです!

ペストの歴史


ペスト菌の起源は中国とされていて、約2600年前に中国雲南省で出現しました。

そして西暦165年のローマで 、世界で最初のペストの流行が起きたとされ、
165~180年までの15年間で最大700万人の方が死亡しました。

このローマでの流行を皮切りに、ペストは3回の世界的大流行(パンデミック)を起こします。


①541~542年、東ローマ(現在のトルコ・イスタンブール)で市の人口40%が亡くなり、
毎日(!)1万人が死亡。そのあとも約60年間世界の各地で流行した。



②14~15世紀、中国大陸で発生しヨーロッパへ。
1334年中国河北省で人口の90%に相当する推定500万人が死亡。
ヨーロッパでは全人口の30~60%、特にイギリスやイタリヤでは人口の約80%が死亡。

Ⓒ 2005年4月3日 Translation of this: de-Wikipedia German map into English

→この原因は当時破竹の勢いだったモンゴル軍がヨーロッパに侵攻していったことによるものと、モンゴル帝国支配下となったシルクロードで東西間の交易が盛んになったためと言われています。


③19世紀、中国雲南省で始まり香港に飛び火し太平洋地域に拡大。
中国・インドで約1200万人死亡。


このとき調査のため香港に派遣された北里柴三郎がペスト菌を発見し、
ペストの原因が判明します。
北里柴三郎と言えば「日本の近代医学の父」と呼ばれ、新しく1000円札の顔になるひとです!

ペスト菌以外にも破傷風菌という土の中に潜んでいる細菌に対する治療法を編み出した偉大な人です。



そして現在WHOによると、2010~2015年の報告数は世界全体で3,248例(約540例/年)、
そのうち584例が死亡。
3大流行地はマダガスカル、コンゴ民主共和国、ペルーです。

原因と症状

ペストは人と動物の細菌感染症で、ネズミなどのげっ歯類がペスト菌を持っていて
主にネズミとノミの間で循環しています。そしてノミが血を吸うために人を刺すことでペストに感染し、感染した人の体液や咳によってヒト間で感染していきます。

また犬や猫もノミによって刺されることで感染するため、感染したペットとの接触で人間も感染することがあります!

そしてペストは症状によって
3種類の病型「腺ペスト」「敗血症ペスト」「肺ペスト」に分けられます。

腺ペスト」:70~80%がかかるとされ、ペスト菌がリンパ腺に入ることでリンパの集まる脇の下や股間などに卵ぐらいの大きさまで腫れあがり、発熱や頭痛などを引き起こします。

敗血症ペスト」:約10%がかかり、血液・リンパを介して全身にペスト菌が回った状態で、出血しやすくなり手足の壊死や昏睡を引き起こします。その壊死した際の黒色から別名黒死病と言われています。

肺ペスト」:ペスト菌が肺に侵入した状態で、かかった際は治療しなければ24時間で死ぬと言われる最も危険なタイプです。咳やくしゃみによってヒト間で感染しやすくなり、肺炎で呼吸困難や血を含む痰を引き起こします。またペットが肺ペストにかかり飛沫感染で飼い主にかかったことがあります。

カラス仮面の正体

不気味なカラスのような仮面をかぶっているのは実はお医者さんなんです!

当時ペスト医師といって、ペストを治療する時にこのマスクと蝋を塗った大きなローブを着て、
手には患者を直接触れないように木の枝を持っていました。
マスクのくちばし部分には、当時考えられていた「ペストは悪い空気から感染する」ということを防ぐために大量の香辛料やバラの花などを詰めていました。
マスクの目の部分にはガラスをはめていて、”空気の精”が入りこんで目を通じて感染しないようにしていました。


当時予防法もわからなかった人々はペストにかからないようにするために、砕いたエメラルドを飲んだり、尿や膿を飲んだりしていました。


そしてペストを治すはずのペスト医師も現在では考えられないトンデモ治療を行っていました。

カエルの破裂による治療

患者の腫れ物の部分にカエルをうつぶせに乗せます。
するとカエルが腫れ物の毒を吸ってふくらみ最終的に破裂します。
これをカエルが破裂しなくなるまでなんでもくり返し、破裂しなければ患者が死ぬと思われていました。

ハトによる治療

これはハトのしっぽの毛をむしりとってむき出しの尾を腫れ物にあてると、ハトが毒を引き出して死ぬとされていて、これを毒が抜けるまで続けるといった今ではありえない治療でした。
ちなみにハト以外でもニワトリで代用出来たとのことです。


そしてそんなペスト医師の中には、私たちが一度は聞いたことがあるような方がいました!それは「大予言」で有名なノストラダムスで、通りにある死体を片づけたり患者が使っていた服を捨てたりと、当時では画期的な予防法を編み出していました!

ペストがもたらしたもの


ペストはあまりにも多くの人を死なせたため、国の文化や環境まで変えてしまいました!

「ロミオとジュリエット」を引き裂いたのはペストだった!?


あのシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」、実はペストが関わっていたんです!


舞台は14世紀のイタリア。
ロミオとジュリエットは仮面舞踏会で出会いお互い恋に落ちます。
しかし彼らは長年対立していた両家の人間、それは許されない恋でした。

なんとかロミオと結ばれたいジュリエットは、神父さんから仮死薬を使った偽装を提案されます。そしてジュリエットは仮死薬を飲み死んだように見せかけ、神父はロミオ宛に「ジュリエットの死は偽装であること」を伝える手紙を送ります。

しかし、手紙を運んでいた使者がペスト患者に接触したため、患者と一緒に隔離されてしまいます。そのためロミオにジュリエットの死が偽装であることが伝わらず、本当に死んでしまったと信じたロミオは後から追いかけるように自殺してしまいます。


現在はペストで隔離されたところを端折っていることが多いそうです。
ロミオとジュリエットはペストのない時代に生まれていたらこんな悲惨な結末を迎えないで済んだかもしれませんね。

ペストで気温が下がった!?


14世紀の大流行によって、世界全体では多くて2億人が命を落とし、
農民が減り農耕地に森林がよみがえったため、空気中の二酸化炭素が減って気温が下がりました!

Ruddiman, William 2010 “F., Plague nd Petroleum How Humans took Control of Climate
(Princeton University Press)を改変。

英語がなくなっていた!?


イギリスでは1066年のノルマン人の征服以降、
自国言語である英語ではなくフランス語が教育言語となっていました。
しかしペストによってフランス語を教える先生が亡くなり、英語が再び復活しました!

ですので、もしペストがなかったら僕たちが英語を勉強しなかった未来もあったかもしれません!


「【歴史から学ぼう】パンデミック①~ペスト~」読んで下さりありがとうございました!
他にもパンデミックになった感染症があるので振り返っていきたいと思います!


参考:

「A pest in the land」
https://books.google.co.jp/books?id=YiHHnV08ebkC&pg=PA21#v=onepage&q&f=false
「横浜市疾患別情報ペスト」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/eiken/kansen-center/shikkan/ha/plague1.html
「ペストは中国が起源、シルクロード経て世界に拡散 国際研究」
https://www.afpbb.com/articles/-/2772233
「第4 回「ペスト」-中世ヨーロッパを揺るがせた大災禍 モダンメディア 56 巻2 号2010[人と感染症との闘い]」
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM1002_03.pdf#search=%27%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%83%88+14%E4%B8%96%E7%B4%80+%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E8%80%85%E6%95%B0%27

「感染症の世界史」-石弘之
「ビジュアル パンデミックマップ」-サンドラ・ヘンペル
「世界史を変えた13の病」-ジェニファー・ライト
「ペストの記憶」-ダニエル・デフォー


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