【新型コロナ】新たな候補薬イベルメクチンとは!?

追記(2020.06.21)
6月4日、イベルメクチンのデータの信ぴょう性に疑いがあり、論文が撤回されました。医療情報分析会社のSurgisphere社が提供していたデータに誤りがあったようです。

また、イベルメクチンの治験を予定している北里研究所は、試験管レベルでは有効性を確認しているとして引き続き治験開始に向けて進められているとのこと。

以下の記事はそれらを踏まえて見て頂けると幸いです。


こんにちは!薬剤師芸人の三部透です。

今回は新型コロナウィルスに効果があると報告されつつある「イベルメクチン」について紹介したいと思います!

4月頃からイベルメクチンは新型コロナウィルスに効果があるのではないか、と報告されていて、19日にはイベルメクチンを投与してないグループと比べて、死亡率を約6分の1下げることがわかりました。
そして5月6日、大村智博士が特別栄誉教授となった北里大学がイベルメクチンの承認を目指して治験をスタートすることを発表しました。


イベルメクチンとは



イベルメクチンは、日本の大村智(おおむらさとし)北里大学特別栄誉教授がノーベル賞を受賞したきっかけとなった薬です。

もともとゴルフが趣味だった大村教授は行く先々のゴルフ場の土を持ち帰り調べていました。そして1979年、静岡県のゴルフ場から発見された菌に寄生虫をやっつける効果が認められ「イベルメクチン」が生まれました。


イベルメクチンの登場によって、当時中南米やアフリカで流行っていたオンコセルカ症(寄生虫フィラリアが失明を引き起こす病気)が治療できるようになり、3億人が視力を失わずに済んだと言われています。

また犬を飼ったことがある人はわかると思いますが、犬も同じくフィラリアによって病気にかかるためイベルメクチンを含んだ薬を飲ませることがあります。こういった寄生虫治療薬によって犬の寿命が10年伸びたと言われています。

なぜ寄生虫に効くのか



実は意外なことに、寄生虫の構造は人間と非常に似ています。

構造の違い
細菌 人間 寄生虫
種類 原核生物 真核生物 真核生物
なし あり あり
細胞壁 あり なし なし



もし普通の細菌をやっつけるのであれば、細菌に特徴的な細胞壁を攻撃すればいいのですが、寄生虫には人間と同じく細胞壁がないため抗菌薬ではやっつけることが出来ないんです。

そこでイベルメクチンは人間にはない寄生虫特有の「神経」を攻撃することで効果を発揮します。



左の図が人間の神経で、右が寄生虫の神経です。
ふたつの図を「グルタミン酸」に注目して見て頂きたいのですが、このように「グルタミン酸」は人間と寄生虫で放出される神経が違います。

通常人間であれば神経を興奮させる物質として働くのですが、寄生虫は落ち着かせる抑制物質として働きます。そこでイベルメクチンはグルタミン酸の効力を強くすることで、寄生虫は神経の情報を伝えられなくなり筋肉がしびれて死にます。



またイベルメクチンは、人間が同じく持っているGABAを介した神経も攻撃するのですが、人間には「血液脳関門」という関所によって脳に薬が行かないようになっているため、人間が飲んでも安心な薬となっています。

なぜ新型コロナに効くのか



元々イベルメクチンは、エイズを引き起こすHIVやデング熱に効くなど、広範囲のウィルスに効果があると報告されていました
そして4月4日に発表された論文によると、イベルメクチンは他のアビガンやレムデシビルのようにウィルスに直接作用するわけではなく、どうやら人間の免疫に関わっていることがわかりました。



通常細菌やウィルスにかかったときは、我々人間は免疫によってやっつけようとします。

その際、「STAT1」という免疫を強くするたんぱく質が、インポーチン(細胞内にあるものを核に移動させる自動車のようなもの)にくっついて核に移動します。そして核の中に到着したSTAT1が免疫をさらに強くすることで、普段外からやってくるウィルスたちを迎え撃っています。




ですが、新型コロナウィルスはインポーチンがSTAT1を核に運ぶのを邪魔することによって、本来強くなるはずだった免疫を抑えているのではないかと考えられています。

そして体内でどんどん増えていったウィルスに対して、人間は身体を守るためになんとか増殖を抑えようと免疫が過剰に反応します。その結果免疫が体内の正常な細胞まで攻撃する「サイトカインストーム」を引き起こしてしまいます。

ある日突然容態が悪化するのも恐らくこれが原因ではないかと言われています。



そこでイベルメクチンは、新型コロナウィルスによるSTAT1の邪魔を抑えることによって、免疫が正常に機能しウィルスが増えないようになっているのではないかと考えられています。

つまり、今までの薬とは違ってウィルスに直接作用するのではなく、人間の免疫をちゃんと働かせる効果がイベルメクチンにはあるとのことです。



今までにたくさんの薬が報告されていたので、主な候補薬を1つの図にまとめてみました。また、イベルメクチン以外の6つの治療薬について書いた記事もございますのでぜひ!


レムデシビルは5月7日にも承認される見通しで、またアビガンも5月中に承認を目指すそうです。イベルメクチンは過去に使われてきた比較的安全な薬なので、ぜひ期待したいですね!

研究まとめ



4月4日、オーストラリアのモナッシュ大学は、試験管内において寄生虫治療薬イベルメクチンが新型コロナウィルスの増殖を抑えたことを発表しました。
イベルメクチン投与して1日でウィルスが93%減少、2日後には99.98%減少しました。

4月19日、アメリカのユタ大学は、イベルメクチンに新型コロナ患者の死亡率を下げる効果があったと報告しました。
イベルメクチンを投与していないグループの死亡率が8.5%で、一方投与したグループは1.4%と、イベルメクチンによって死亡率を約6分の1下げることが出来たとのことです。

そして5月6日には、大村智博士が特別栄誉教授となった北里大学が、イベルメクチンについて新型コロナ治療薬として承認を受けるために治験を開始することを発表しました。




以上、「新たな候補薬イベルメクチンとは!?」でした!
読んで下さりありがとうございます!


参考文献:

「COVID-19病におけるイベルメクチンの有用性」
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3580524

「FDA承認薬のイベルメクチンは、SARS-CoV-2のin vitroでの複製を阻害する。」
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166354220302011

「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信-イベルメクチンが有効か」
https://www.covid19-yamanaka.com/cont4/23.html

「4月8日 抗寄生虫薬イベルメクチンが新型コロナウイルスに効果がある理由( Antiviral Research オンライン掲載論文)」
https://aasj.jp/news/watch/12749

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