【薬剤師芸人が解説】アンサングシンデレラ第1話~糖尿病~


こんにちは!1年近くテレビのリモコンが見つかってない薬剤師芸人です!

今回は、「アンサングシンデレラ第1話」に出てきた病気や薬について、
わかりやすく解説したいと思います。




【あらすじ】

同じ病室に入院している渡辺奈央(13才)と森本優花(14才)。1型糖尿病の2人は血糖値をコントロールするために、毎日インスリンを注射しています。

しかし、奈央ちゃんは入院中もなかなか血糖値が安定せず、あるとき低血糖で倒れてしまいます……


糖尿病


糖尿病とは、血液中のブドウ糖がエネルギーとして使えなくなってしまう病です。


米やパンなどの炭水化物は、体内に入ることによってブドウ糖に分解されます。
ブドウ糖は細胞が活動するために必要なもので、頭を働かせたり身体を動かすときのエネルギーとなります。

ですが、糖尿病になるとブドウ糖が血液から細胞に移動しづらくなります。
その結果、ブドウ糖をエネルギーとして利用できず、また、血液中に使われないブドウ糖が増えることによって、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が高くなり様々な症状を引き起こします。




葵みどりが森本優花に説明していた「ケトアシドーシス」とは、糖尿病の合併症のひとつです。

インスリンが足りなくなった時に、人間はエネルギーを得るために代わりに「脂肪」を分解します。そうすると血液が”アシッド”(酸性)に傾き意識を失ってしまうため、大変危険なんです。


インスリンがほとんど出ない1型糖尿病は特になりやすいので注意が必要なのですが、1型糖尿病でなくてもジュースを大量に飲む「ペットボトル症候群」によって引き起こされることがあるので、ジュースを飲みがちな夏は特に気をつけましょう!


合併症



糖尿病で一番問題となるのが合併症です。

治療されない状態で高血糖が続くと、増えすぎたブドウ糖が全身の血管や神経を傷つけてしまい、合併症(通称”しめじ”と”えのき”)を引き起こします。





特に網膜症(もうまくしょう)は失明の原因第3位で、年間約3000人が失明しています。また、神経と血管が傷つくことによって足の組織が腐り、手術で足を切断する場合もあります。

このように合併症は非常に恐ろしいため、ドクターの指示を受け治療を継続することが大切です。


糖尿病になるメカニズム



では一体どうして、血液中のブドウ糖が使えなくなってしまうのでしょうか?
それは、「インスリン」の作用が弱まることによります。

インスリンとは、膵臓から分泌される「血糖値を下げるホルモン」です。




インスリンはブドウ糖を血液中から細胞に送ることで、血液中のブドウ糖を減らし血糖値を下げます。ブドウ糖を細胞に送ることでエネルギーとして使えるようになるので「ブドウ糖をエネルギーに変えるホルモン」でもあり、また、過剰なブドウ糖をいざという時のために使えるように「ブドウ糖の塊(グリコーゲン)を作る・中性脂肪として蓄えるホルモン」でもあります。



糖尿病の種類


そしてこのインスリンの作用が弱まる原因は主に2種類あり、
「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分けられます。



1型糖尿病は免疫が自身の膵臓を傷つけてしまうことが原因で、インスリンがほとんど出ません。2型糖尿病はインスリンは多少出るのですが、肥満や運動不足によってインスリンが効きにくい細胞になっているので血糖値が高くなりやすいんです。

日本の糖尿病患者の5%は「1型糖尿病」といわれていて、糖尿病のなかでも肥満とは関係がなく10~20代での発症が多いとされています。

ドラマに出演していた2人が10代だったのも、このような背景があったからだと思います。



インスリン注射



インスリン注射は、インスリンを上手く分泌出来ない人が体の外から補充するために行います。人間のインスリン分泌には「基礎分泌」「追加分泌」があり、この2種類の分泌が合わさることで正常に血糖値がコントロールされています。



そのため、どちらかの分泌が足りてない糖尿病患者さんは「健康な人のインスリン分泌パターン」となるように補充します。特に1型糖尿病に関してはどちらも足りていないため、長時間効果のある「持続型インスリン注射」と、短時間ですぐ効果の出る「速効型インスリン注射」を併用します。


糖尿病は薬物治療をすれば普通の生活が出来る分、他人には理解されづらい病気です。

2型糖尿病患者さんは糖尿病ではない人と比べて2倍うつ病になりやすいという研究結果もあり[1]、特に学生時代の多感な時期ですと精神的な負担が大きいのだと思います。

糖尿病の薬



糖尿病にはたくさんの種類の薬があるのですが、中には変わった薬もありまして、特に「α-グルコシダーゼ阻害薬」や「SGLT2阻害薬」などは面白い特徴を持っています。



α-グルコシダーゼ阻害薬はブドウ糖の吸収を抑えるお薬なのですが、副作用で「おなら」が出やすくなります。これは、薬によって小腸で吸収されなかったブドウ糖が、大腸の腸内細菌で分解された結果、ガスが生じるため普段よりもおならが出やすくなるんです。


また、SGLT2阻害薬は日本が開発した新しい作用機序の薬で、「ブドウ糖をおしっこと一緒に出す」という変わったメカニズムを持っています。1日に100g程度のブドウ糖を排出でき、400kcalのカロリー消費するとされていて、体重減少効果が期待出来ます[1]。
(ただ、過度の糖質制限をしている場合は使用できません)。


「太っている=糖尿病」ではない


糖尿病といったら太っている人をイメージしてしまうと思います。
ですが、実は糖尿病でもやせている人はいて、特に日本人に多いとされています。


なぜ、やせていても糖尿病になるのかというと、それは「インスリンの分泌量」が少ないからなんです。インスリンは血液のブドウ糖を細胞に運んでエネルギーにするのですが、余ったブドウ糖は緊急時に使用するエネルギーとして「脂肪」に合成されます。

インスリンが少ない人は多い人に比べて脂肪を合成出来ないので、あまり太ることが出来ないんです。同時に、それだけ血液中のブドウ糖が余るので高血糖になりやすくなります。


一方で、欧米人はインスリンの分泌量が多いため、太りやすい分血糖値は高くなりづらいんです。『太るのも才能』といわれるのもこれが理由です。日本人が100kg以上太るのは本当にすごいことなんです。



現在では1型糖尿病の発症を遅らせる免疫抑制薬や、発症を防ぐワクチンも開発されていいるので希望を持って待ちたいですね!

読んで下さりありがとうございました!

[1]糖尿病診療ハンドブックより

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